あなたの身に災難が起こったことはありますか?
私の記憶の中で一番大きかった災難は、東日本大震災です。
子供を病院へ連れて行くため、車で学校に迎えに行った時、グラウンドに停めた乗用車がジャンプするようにはねました。
事故や災難は突然やってくるので、避けようがありません。
先月、キューバの旅客機が墜落し、死者110名、生存者3名という悲惨な航空機事故のニュースがありました。
また、今月にはグアテマラのフエゴ火山が噴火し、死者75人、行方不明者が192人(2018年6月5日現在)に上る自然災害が発生しました。
この噴火で生存した女性は、噴火時にたまたま買い物に出かけていて、火山の噴出物からギリギリ逃れ生存できたと言っています。
航空機事故や自然災害で生死を分けるものとは一体何なのか?
偶然なのか。
必然なのか。
それを知るために、危機的状況の中で奇跡的に生き残った人たちの物語をまとめた本があるので紹介します。
極限に達した時、人はどう行動するのか、がわかる本です
本当にあった奇跡のサバイバル60とは
絶体絶命の状況から生還した人々の生死を分けたものは、何であったのか。
『本当にあった奇跡のサバイバル60』は本当に世界で起きたサバイバルの物語が60話、5つの章に分類して紹介されている本です。
第1章 サバイバル
第2章 脱獄
第3章 戦争
第4章 難破
第5章 誘拐・人質
豊富なカラー写真と地図を使って、一話につき2~6ページでまとめられています。
どんな内容が書かれているか一章ずつみてみましょう。
第1章 サバイバル
登山中の事故や航空事故、自然災害など、九死に一生を得た体験が書かれています。
例えば、1931年のオーストラリア。
3人のアボリジニの少女がオーストラリア政府の先住民隔離政策により強制的に家族から引き離され、1600キロ離れた先住民収容所に送られました。
が、その3人は脱走。
ウサギよけフェンスに沿って砂漠地帯を歩き通し、故郷にたどり着いたという話があります。
この章では、人間が極限状態に直面した時に発揮する執念というものが感じられます。
第2章 脱獄
政治な幽閉から、ギャングによる監獄破りまで、人生をかけての闘争劇も紹介されています。
1962年の米国。
サンフランシスコのアルカトラズ島では、アメリカで最も危険な犯罪者300人以上を監禁していました。
1962年の6月、3人の男たちがそこから大胆に脱走を計画。
独房の通気口に穴を開け、刑務所で盗んだ何着ものレインコートで救命胴衣とゴムボートを作っていました。
そして、アルカトラズ島からの脱出に成功します。
逃げられるはずのないアルカトラズ島から唯一成功した脱走例として残されています。
この章では、犯罪者たちが孤島の刑務所や流刑地から脱走を図る話がメインです。
逃げ切れない場所に送り込まれても自由を求め計り知れない力を出す人間の強さが感じられます。
第3章 戦争
敵国内を数年にわたり逃げ続ける、強制収容所からの脱走などが紹介されています。
1951~53年の朝鮮戦争。
ひとりのアメリカ兵が中国軍の捕虜となり、6回の苛酷な脱走を図ります。
1回目は中国軍に連行され川を渡っている時、こっそり水に潜って逃げます。
2回目は連行されたキャンプを逃げ、3回目は軍の駐屯地を抜け出します。
4回目はトンネルを掘り脱出を図り、5回目は監房の壁に穴を開け、そして6回目で凍結した川を逃げる計画を立てるが捕まってしまう。
途中捕まって拷問を受けながらも最後には戦争が終結し自由の身になる話です。
戦争で異国に送られた兵士たちが母国に戻るまでの過酷な物語が描かれています。
第4章 難破
海上での事故。何もない大海原を漂い、生還する奇跡の数々が紹介されています。
1914~16年の南極海。
サウスジョージア島から出航し南極大陸を目指していたエンデュランス号は、途中流氷に閉じ込められ難破。
隊員28人全員の生還を目標に小さな救命ボートで1300キロの南極海を航海します。
途中、暴風や高さ18mもの大波に立ち向かいながらも、覆いのないボートで航海を続け助けを呼びに行くことに成功し全員帰還を果たすのです。
船に乗ることは命の保証がされないほど、危険と隣り合わせであったことがわかります。
第5章 誘拐・人質
現代の海賊による身代金ビジネスやテロからの生還など、生々しい恐怖の体験など。
1998~2006年のハンガリー。
10歳の少女が誘拐されて地下室に8年間監禁されます。
誘拐犯に度々殴られ、眠っているときは手錠を書けられました。
しかしその生活に屈することなく、ラジオで教育番組やクラッシックを聴いて独学で勉強していたようです。
そして18歳がすぎる頃、外に出ることを許された隙をみて、走って逃げることに成功するのです。
誘拐犯の奴隷として監禁されていた少女が苦しい試練を乗り越え、脱出を試み成功した話などが紹介されています。
ある日突然、自分の身に降りかかる不条理な拘束で自由がなくなる生活とその中で精神の安定を保つ難しさ。
それでも希望を失わない人間の強さが感じられます。
まとめ
いかがでしたか?
『本当にあった奇跡のサバイバル60』で紹介されている内容は次の5つに分類されます。
- サバイバル
- 脱獄
- 戦争
- 難破
- 誘拐・人質
普段平和な日本で暮らしていると自然災害以外の脱獄、戦争、難破、誘拐・人質にあまり縁のないように感じますが、平和であるからこそ「自分だったら、どのように行動するだろう?」と本を読んで考える習慣をつけることが大切と感じました。
一話一話は2〜6ページにまとまりそれほど長くないのですが、自分を主人公に投影すると眉間にしわを寄せて読むようなスリル、恐怖、苦痛を感じる内容が繰り返されます。
一日一話読むだけで、手に汗握ります。
一冊読み終える頃には、さまざまな出来事が自分の身に降りかからないことを願うばかり。
それくらい、リアルで生々しい人間の生きる姿が描かれています。
生きるためには『なんとしても生き抜こうとする不屈の精神』が大事と思わせるおすすめの一冊です。